近代の外地詠 2
石原は自然科学を、原は医学を学ぶための留学でした。
植松は勤務先の会社をやめて次の職につくまでの間の旅であり、九条も茅野も夫君の外遊にしたがったのです。
苦力はクーリー、中国の下層労働者をいいます。
「とはまく」は問おうとして。
その他語意に分りにくいところはありません。
いずれも近代短歌がはじめて外国の旅を歌った先駆的作品で、目新しい風物に素直なおどろきの眼を向け、素直な言葉によって表現しています。
ただ現在の目からすれば、発想も、素材の切りとりかたも、表現技法も、当時の短歌の世界から一歩も踏み出していないことが物足りないですね。
いわば作者は、それまでに自分が身につけた短歌の波長にひっかかる部分だけで歌っていました。
短歌の世界は空間的にはひろがりましたが、内的世界を深化したとまではいっていません。